お山の大将
足がつまづき絡んだ根が行く手をふさぐ
山は木の住み家だ
多くの従僕を従えて
それとも家族か
筋骨隆々とした幹
枝か幹かもう区別はできない
そうかあんたがお山の大将か
そいつは異端にも堂々としていた
げんごろう
時にわずらわしく
時に憎らしく
されど心を和ませてくれる
豊かな恩恵を与えてくれる
食べられるものもある
癒されるものもある
どうせ人の手に収まった生き物たち
そして創られたものも
彼らにとってありのまま姿は
自由はいったい
どこにあるのだろう
大きな岩を動かしてみな
大きな岩は重くてなかなか動かない
大きな岩は頑固だからちょっとやそっとでは動かない
水は器用だよ上手だよ
重力をちょっと感じるだけで
すぐに仲間と一緒になって海まで旅をする
それならたくさんの雨を降らせて
たくさんの水の力を借りて
せいのでゴロゴロと
大きな岩も連れて行ってあげるよ
旅に出る
人に出会う
良い出会いもあれば悪い出会いもある
良い人が憎らしくなるときも
不愉快な人が必要となるときも
山の天気は一様でなく
海はいつも穏やかでない
雨を望むか
それとも雪か
夏に行くかそれとも冬か
旅に出たらすべてがある
空の色が溶け込んだ深く青い小さな入り江
風が水面を逆なでキラキラ輝く
大きな魚の背びれで一筆に遡った
今度は無数の小魚がさっと方向を変え
ダンスをしたかと思うと一斉に河口を遡った
そのさざなみのキラメキと造形はふたつとして
同じものはなかった
黒山蟻の大群がゆく
右往左往しながらひとかたまりになって
粒粒の無数の黒い塊が大地を練り歩く
せわしなく辺りのバッタを蹴散らして
黒大蟻に体当りして
黒山蟻の大群がゆく
黒い塊は小さな穴の前でゴマ団子のように集まって
次から次へと穴の中へ入っていった
やがて穴の中から白い団子を歯にくわえて
次々の今来た道を戻って運んでゆく
一列になって大事に抱えて運んでゆく
新しい家が出来た
次の世代の子供たちを連れに
新しい家を行ったり来たり
そしたら引越しのお祝いだ
数匹の若い衆がミミズを運んで
宴の準備だ
チリチリ、がやがや
ちくちく、ワイワイ
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